アイフレイル

アイフレイル - 寄り添う事が大事です -

“フレイル”と言う言葉を耳にしたことがあると思います。
年齢からくる身体のfrailty(もろさ)を意味しますが、これが使われる目的は、フレイルを自覚していただき、これに医療が介入することで、健康寿命の延長を図ることです。
眼に対してもアイフレイル(アイ:eye、眼)という言葉が使われています。
米子市彦名におられた八百比丘尼さんはともかく、誰もが加齢によるアイフレイルは避けられない事実で、それに寄り添っていかなくてはなりません。
そして、アイフレイルの悪化防止のために、眼科医療の介入は不可欠なものです。
また、「見ること」に困難が生じると、社会活動が制限され孤立を生み、認知機能が低下し認知症やうつ病などが発症しやすくなるなど、フレイルを増加させることになります。


白内障 - 手術後が大事です -

生活に不自由さを感じたら

白内障とは

網膜(カメラのフィルムのようなもの)に光が届かなくなってしまう病気です。

そうなると、視力低下、目の霞み、太陽の光の明るいところでは非常にまぶしく感じる、眼の度数が変わる、だぶって見えるなどの症状が出現します。

初期は、わずかな“かすみ”を自覚する程度ですが、進行すると視力が低下し、さらに進行すれと目の前に出された指の数がわからなくなるほどです。最も進行した状態は光の点滅しか分からなくなります。

白内障の原因

原因としては加齢が最も多いです。50歳頃から徐々に水晶体(レンズ)が濁ってくる目の変化で、誰にでもおこる加齢変化なのです。

次に全身疾患に合併する糖尿病やアトピーなどが原因でなる場合も多くあります。

また、風疹などの先天性白内障、目の外傷が原因で起こる外傷性白内障、ぶどう膜炎などで起きる併発性白内障があります。

その他、放射線やステロイド剤が原因で起こってしまう場合もあります。

白内障の治療

白濁した水晶体を再び透明に戻すことができる治療薬は現在は見つかっておりません。

白内障が進行して、日常生活に不自由を感じてしまう場合や視力を回復させたい場合は、手術を行う必要がございます。
白内障以外の病気がある場合、手術方法を工夫したり、全身状態をみて手術の時期を決めます。

手術の時期は、白内障が原因で日常生活に不自由が生まれたり、自動車免許などの資格更新ができなくなった時ですが、現在は不自由なくても、将来の不自由が予測され、その時高齢で手術が難しいと予想される時は手術を薦めることがあります。

白内障手術

生活に不自由さを感じ、手術をするべきか悩んでいる方はまずご相談ください。しっかりと検査を行い判断させていただきます。症状が軽い場合は、薬による治療を行う場合もあります。

手術は日帰りで行うことができます。

手術までの流れ

1.来院受付に保険証をお渡しし、受付表の記入をお願いします。
2.問診
  • 現在の眼の症状
  • 治療している持病
  • 飲んでいるお薬
などをうかがいます。
3.検査

目の状況を確認するため視力や眼圧などの検査を行います。

4.診察白内障の状態と手術の適応について確認。
もし、手術が必要と判断した場合、日程をご相談します。
5.術前検査手術のための特殊な検査(眼の形状や長さを調べるなど)をします。
6.相談術で挿入する眼内レンズについての希望を伺います。
手術前後の注意点などもお伝えします。
7.手術決めた日時に手術を行います。
日帰りすることができます。

白内障手術の後

私見ではこれが最も重要と考えています。
明るくなって、視力が向上して、免許がとれて、とてもハッピイな気持ちで、眼の不安はこれで解決と思いがちになります。
しかし、白内障だけが眼の病気ではありません。
「眼のことはこれで終了」と思っていると、新たな病気の発見が遅れることが多々あります。
術後も定期的な眼の検査が必要です。


緑内障 - 視野が狭くなる病気です -

緑内障

目の中には房水という水が入っており、新しい水が送り込まれてくる場所と、古くなった水が目の外に出ていく場所があり、常に入れ替わっています。この水の量が均等であれば、眼球は一定の硬さを保つことができます。この目の硬さを眼圧と言います。

緑内障は、何らかの原因で水が目の外へ出て行きにくい状態になると、水がどんどん目の中に溜まり、眼圧が高くなります。高くなると視神経がその圧で圧迫され、ダメージが加わります。するとどんどん視野が狭くなってきます。

日本人の失明原因の第1位であり、40歳以上の約20人に1人が緑内障です。

緑内障の症状

最初は自覚症状がないため、気付かないうちに症状が進んでしまうことがあります。
徐々に視野が欠けていき、進行すると視力も低下します。

眼圧が非常に高くなると痛みを強く感じますが、ほとんどが無症状で進行します。
視野が狭くなりますが、それが自覚されるとしたらそれはかなり進行例です。
職場の検診などで、「たまたま」見つかることが多いようです。
自覚はなくても視野検査で視野が狭くなっていたりします。
また、最近は検査の進歩で前視野緑内障といって、視野検査でもわからないごく初期の緑内障も診断できるようになっています。

急性の緑内障は、急激に眼圧が上昇するため、目の痛みや頭痛、吐き気などの激しい症状を起こします。

緑内障の原因

  1. 房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇したことが原因。
  2. 隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇したことが原因。
    ※慢性型と急性型があります。
  3. 外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇が原因。
  4. ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇が原因。

生まれつき隅角が未発達のためや、眼圧が正常でも緑内障になる場合もあります。

緑内障の検査

①眼圧検査
眼圧の高さを調べます
②眼底検査
視神経のダメージの程度を調べます
③視野検査
現在どのように見えているか調べます
④OCT眼底三次元解析による視神経乳頭断層検査
網膜の断層画像を撮影して調べます
⑤OCTによる前房隅角検査
網膜の断層画像を撮影して調べます

緑内障の検査

薬物療法

主に房水の産生量を減らしたり、房水の流れをよくする薬を用います。
点眼薬から始め、様子を見ながら内服薬を併用したりもします。

レーザー治療

レーザーを虹彩にあてて穴を開けたり、線維柱帯にあてて房水の流出を促進します。
比較的安全で痛みもなく、入院の必要もありません。

手術

房水の流れを妨げている部分を切開し、流路を作り、房水の流れを良くします。
他には、毛様体での房水の産生を押さえる方法などがあります。